射雕英雄伝06

第六集 時は流れた
あらすじ

テムジンの申し出をオン・ハーンは承諾し
同時にオン・ハーンの孫娘をテムジンの長男ジュチの嫁とする
ということで話はまとまった。
郭靖は改めてその勇気と義侠心をテムジンに認められ、
江南七怪は武芸の師としてテムジンの下に滞在することとなった。

亡き郭嘯天の位牌、そして李萍に挨拶をすませ
さっそく郭靖に武術を教え始める七怪。
しかし六歳の子供にいきなり実戦技法を教えようというのが無茶な話である。
ただでさえもともと物覚えが悪く愚鈍な郭靖が
これで身に付けられるわけがない。

一向に上達しないまま十年の歳月が過ぎていった。
罰として馬歩ばかりやらされていたおかげで足腰だけは強くなったが、
武術のほうはてんで駄目な郭靖だった。
そんなある夜のこと、
全真教から丘処機の弟子・尹志平と名乗る道士が郭靖を訪ねてくる。
突然の奇襲に対抗する郭靖であったがあっさりと負けてしまった。
尹志平の携えていた手紙により丘処機は楊家の遺児・康を見つけ
武術を教えているということがわかり、
そして勝負の時は二年後に迫っていた。

修行を続ける郭靖であったが相変わらず上達せず悶々としている。
そんな時、黒鷲と白鷲の争いを見物に行った先で
テムジン、そしてその配下の者たちと共に鷲を射ることになった。
ジェベに仕込まれた郭靖の弓の腕は見事なものであり、
一矢で二羽の黒鷲を射落とした郭靖は
コジンに頼まれ、褒美としてコジンとトサカの婚約解消を願い出る。
しかしこれはどだい無理な話だった。
代わりとして郭靖はテムジンから短刀を賜った。

再び修行をする郭靖を見つめる一人の初老の道士がいた。
いつものように郭靖にちょっかいを出しに来たコジンと一緒に崖の上を見上げると、
先ほど黒鷲に襲われて親をなくした二羽の白鷲のヒナが巣に取り残されている。
助けたくても高すぎて無理だと嘆く郭靖に、道士は軽やかに崖を上り
見事にヒナを連れて下りてきた。
コジンは郭靖とヒナを育てることを決めて去って行き、
その場に残った郭靖は道士に教えを請おうとする。
道士は今夜崖の上に来るようにと言い残すと姿を消した。

崖を必死に登る郭靖だが足を踏み外し
すんでのところで大ハーンの短刀を岩壁に突き刺し落下を免れた。
しかし登ることも降りることもできない状況だ。
辺りはすっかり暗くなり、郭靖を探しに来たコジンの声が聞こえてくるが
郭靖の声はコジンには届かない。
郭靖が助けを求めて声を張り上げると上から縄が降りてきた。
引き上げられた上では道士が待っていた。
道士の言う通りに岩の上に寝た郭靖は
「思い定まれば情を忘れる
体虚なれば気は巡る
心が死ねば神は活きる
陽が盛んなれば陰は消える」
という四句を教えられ、瞑想をはじめる…



Pick Up

・「なぜコジンを助けたのか」と聞かれて
「馬は人を踏み殺すから」という答えになっていないようでなってる台詞。
当たり前のことだけど郭靖の人物描写はこう一貫しているからこそ
好きにもなれるというものである。

・それにしても大ハーンやその他の蒙古の人たちと、
それに対する江南七怪というこの場面の違和感。
明らかに彼らは互いに「違う世界」の住人だと思います。
(このことについてはまた後述)

・郭靖の手柄に師匠たちも大喜びですが…
この頃はまだこのアホの子に教えるというのが
どういうことか、わかっていなかったのだ。

みんなにペタペタされて喜ぶ郭靖がカワイイ。

・で、いざ教えるとなると、
みんな好き勝手に自分の事ばっかり言ってるのに嫌な予感が(笑)
大師父はさらりと「毎日十二時間修行だ」とかとんでもないこと言ってるし(^^;

当人は馬歩に耐えられずに早くもヘタっているというのにね(笑)

・そんなこんなで期待を裏切らない愚図っぷりな郭靖と
それを上回る駄目っぷりを見せてくれる大人たち(笑)
おまけにママさんが来るとごまかすこの体たらく。

…こいつら駄目だ(笑)
つーか、明らかに人に物を教えるのには向いてない連中だよ。


これは良い幼児虐待ですね。

・そんなこんなで楽しい狩りに行く時間も削って
来る日も来る日も修行が続き、

気が付いたら十年経ってました。
これ、あの子供から成長した姿としては
驚く違和感なくすんなりと受け入れられますね。
誉められると無邪気に喜んだりと
内面的には変わっていないというのがわかるってのも大きいんでしょうが。

・一方、そんな蒙古にある日突然やって来たのは…

いきなり問答無用で攻撃とはさすが丘道士の弟子だ。
つーか、あの人も江南七怪と同レベルでダメ師匠な気が…

・はっきり言って武功のレベルでは七怪よりも丘道士のほうが上なわけで、
そんな丘道士に教えられて楊家の息子はめきめきと実力をつけているとか。
しかしその対決の相手となる当の本人はというと…

(早く終わらないかなー、もう寝たいよ)と
無茶苦茶他人事なのでした(笑)


これはもうだめかもわからんね。

・そんなそんなおばかで能天気な靖儿でしたが、
いちおう自分がちっとも上達しないことを気に病んではいたようです。
からみにきたツンデレコジンは郭靖に詰め寄られてうれしそうだなー。

・七怪もそうですが、大ハーンの髪にもだいぶ白いものが増えました。

でもこの人はどんどん貫禄が増してきた感じだね。

・大ハーン、そしてもう一人の射雕英雄!

この場面はやはり興奮だ。
しかし靖儿、弓のほうは才能あったんでしょうか?
それともこっちは師匠が*まともに*教えてくれたから?(笑)

・コジンの縁談破棄は聞き入れてもらえず
結局金刀を賜った靖儿は
もともと別にコジンとのことも頓着はなかったので
なんとも不思議そうに金刀を見つめてぽやーんとするだけです。
しかしこの郭靖、

これこれ、このなで肩がいいんですよね。
なんかいかにもボケてる感じで。

・そして謎の道士登場。

観ている方にはこの服で全真教の関係者だと一発でわかりますね。
この落ち着いた温和な物腰は、同じ全真教道士でも誰かさんとは大違いですが(笑)
それからこのヒナは後々また出てくるので覚えておくっと。

・去って行こうとする道士を前に

なぜか剣を突きつけて怒られる(笑)
本人必死だったんだろうけど、なんか間抜けで笑えるやりとりです。

・こうして運命のロッククライミングが始まったわけなのですが、
足を踏み外し、すんでのところで郭靖の命を繋いだのは大ハーンの金刀、
そして真っ暗になり、戻らない郭靖を探しに来たコジンを呼んでも
その声は向こうに届かないというのは、何とも象徴的です。
(これは後述しますが)


こうして郭靖の内功は開発されていく…



ユーモラスに描かれる七怪との修行は実に愉快
この人たちはおよそこれまでに人を教えたことなんて一度もないんでしょうね(笑)
虐待すれすれの目に会いながらも愚直にがんばる郭靖がカワイイ
そして一気に十年飛んですっかり大きくなりますが
これが全然違和感なくすんなり受け入れられるのがすごい。
李亜鵬のボケっとしたどこか抜けた演技と雰囲気が秀逸です。

上にも書きましたが、この物語には
チンギス・ハーンの国盗りである蒙古編
江湖の勇士たちが大暴れする中原編
という二重の構造があります。
郭靖はこの間を行き来する主人公(=我々の立場に近い存在)であり
現時点では郭靖は生まれ育った蒙古編に属するキャラクターなわけです。
こういったひとつの物語の中で、
さらに物語とそれ以外(物語の中の「現実世界」)が存在するという
いわゆるメタな構造というんでしたっけ、こういうの。
それをこの物語も取っていると思うわけです。
すなわち現在蒙古に住み暮らしている郭靖(=我々)にとって
「蒙古編」の世界と住人が「現実世界」であり
「中原編」のほうは物語、おとぎなばし、ファンタジーの世界である
と言っても過言ではないかも知れません。
今回の話でチンギス・ハーンと江南七怪が会話をする場面がありますが
この時点で感じる強烈な違和感というのは
現実世界の住人と物語世界の住人が会話をしているという
本来ならありえない状況に対してのものであるのではないか
と言えるでしょう。
(つーか、実際、文字通りの意味で話している言葉も違うようですが…)

この二重構造を意識させられるような事態はこの先もたびたび登場します。
だから何だ?といわれると
今の段階ではまだそれに対する明確な答えを私も形にして出すことはできないのですが、
(強いて言うなら主人公である郭靖のアイデンティティの置き所について
関わってくる話であるというところでしょうか)
たぶんこんな感じで話数を進めて見ていくと
何かわかることがあるのではないかと思う。

そしてもう一つ
今回の話で鷲を射る場面に象徴されたように
この物語は英雄の話であるということです。
同じく鷲を射たチンギス・ハーンと郭靖
物覚えも悪く愚鈍な郭靖がこのまま修行を続けても
果たして勝負に勝って中原の英雄となれたかというと
それは否でしょう。
つまり蒙古編という現実世界から抜け出すためには
武術習得の基礎として郭靖の内功が鍛えられることが
必要な通過儀礼だったわけであり、
初老の道士はそのための導き手(鍵とも言い換えられますね)
であると考えられます。
(さらにここから発展させて考えると、
物語世界の技能(=武功)ではなく
現実世界の技能である弓術に関しては
これだけ物覚えが悪いはずの郭靖が
普通に習得して達人の域に達しているという点も
納得がいくかも知れません)
そしてその鍵を手に入れるための試練を助けたのは
奇しくも、人の意図を超えた偶然とはいえ
現実世界の英雄となるテムジンのくれた短刀でした。
そしてこれは現実世界から物語世界へ行く道のりであるがために
現実世界のコジンに郭靖の声は届かなかったのです。
…なーんて考えるとまた興味深いと思いませんか?
まあ実際にそこまで計算して作られているのかどうかというと
どうなのかはわかりませんが(^^;

 
武侠ドラマ / 射雕英雄伝 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
<<射雕英雄伝07 | ホーム | 射雕英雄伝05>>
コメント

>大師父はさらりと「毎日十二時間修行だ」とかとんでもないこと言ってるし
中国版だと「每天十二個時辰」で、時辰は中国昔の時間の数え方で1時辰=2時間。と言うことで大師父は、「24時間修行だ!」といってるんですね。無理だよ大師父!寝る時間は?!気合だけあれば何でも出来る訳じゃないですから!
by: Joy * 2009/06/19 02:04 * URL [ 編集] | page top↑
>Joyさん
あ、なるほど。
「一人2時間ずつ」って言ってたので、
普通に2*6ってことで12時間だと勘違いしてました(^^;
1日12時間でも大概無茶ですけど、24時間とか言われると別に普通のことに思えてしまうのが不思議です(笑)
by: Manbo * 2009/06/20 02:56 * URL [ 編集] | page top↑

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://khazad2.blog98.fc2.com/tb.php/7-f829cfe5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |

プロフィール

Manbo

Author:Manbo
主に武侠ドラマ/古装ドラマの感想ブログです。
---------------------------

「ツンデレ美少女」と「ツンデレ頑固親爺(髭あり)」では割と迷わずに後者を選ぶような人間です。頭を使うのはとても苦手なので思ったことをそのまま書き散らしているようなことが多いです。
古い記事でもコメントなどおきがるにいただけるととても喜びます

現在鑑賞中


→《放置中》海神
→《放置中》馬鳴風蕭蕭 (中文版)

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

雑記帳

最近のトラックバック

月別アーカイブ

ブログ内検索

リンク

RSSフィード