上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2008.07.18 始皇帝暗殺
荊軻刺秦王
1998年 中国・日本・フランス(なんでフランス??)
原題:荊軻刺秦王


陳凱歌(ちぇん・かいこー)監督の古装映画です。
日本側も製作にからんでるってことで、
確か公開当時はこっちでも結構大々的に展開されていた記憶があります。
内容は説明不要ですね。タイトルから見ての通りの「荊軻」ものです。
(が、観終わった感じとしては、荊軻よりも秦王嬴政のほうに
だいぶウェイトが置かれている具合でありました。)

紀元前、戦国時代の中国を始めて統一した始皇帝こと秦王嬴政、
彼が幼少の頃に人質時代を過ごした趙の幼なじみの姫、趙姫との思い、
そして始皇帝暗殺を志すことになる当代一の刺客、荊軻。
戦乱の世の終焉という時代の要求に翻弄される秦王嬴政という一人の人間を通し、
「始皇帝」の誕生までを描いた歴史大河作品です。
(当時はまだ「大作系」なんて言い方もなかったよなー、たぶん。)

古装ものの映画を観たかったという点
「射雕~」の蓉儿役でおなじみの周迅が出ているという点
それに加えて最近、「水滸伝」の宋江の中の人・李雪健が
始皇帝役をやっているということを知りまして、
ずっとストックしてあったものが、
このたび鑑賞メーターMAXに達した次第であります。

+++++++++++++++++

てなわけで感想ですが、

面白かった!
二時間半超えという重量級なので、
正直、観るのにずっと二の足を踏んでたんですが、
いや~、やっぱりこの物量は、これくらいの尺がなくてはならんよね。
これだけの時間をかけてこそ、歴史や劇中の時間の流れを体感できる、というか。
まあもうちょい削ろうと思えば、尺を短く出来たところも
いくらかあることはありそうですが(^^;
古装ものの楽しさを存分に堪能できました。


で、そう感じた理由が、
なにはなくとも李雪健

李雪健スゲエ!
「水滸伝」もたいがいトバしてましたが、
しかしこの人のリミッター解除すると、ここまで突き抜けるんだなーと。
荊軻役のほうにもイカレ演技が随所にあるんですけど、
こちらはやっぱりどこか演技っぽいんですよね(下手というわけじゃないんですが)。
それがこのオッサンのほうは、なんかもうナチュラルに突き抜けとる(笑)
最高です。
もうひたすら佩服ですよ。

もともと「水滸伝」の宋押司でも好きだったんだが、今回ですっかり惚れてしまった!
このオッサン大好きだ!

つーか、いい年こいたオッサンが
幼なじみの好きなおにゃのこに会いに行くってんでウキウキして

こんな風に「キャッホーイ」てな感じに
はしゃぎながら廊下飛び跳ねる様子が普通にかわいらしく見えるのって、
他になかなかおらんですよ@@
(この人、基本的に背が低いから、いちいち愛嬌があって見えるんだよなー。)
最初に書いた通り、この人目当てで観たようなものなんですが、
実際、この人を観ているだけでずっと楽しかったです(笑)

++++++++++++++++++++

と、決してそれだけというわけでもなくて、
基本はお金をたくさん使ったいわゆる大作系の映画なんだけど、
きちんとそれぞれの人物に焦点をあてて描いているから
観ているほうが置いてけぼりということもなく、
(元のテーマ的に、とても馴染み深く、
設定把握や感情移入がしやすかったというのもあるだろう)
作り手側のタダの自己満足などではない
物語を描こうとしているというのはちゃんとわかりました。

ただし、
嬴政の生い立ちなんかはともかくとして
呂不韋やら長信侯(嫪アイ)やら樊於期、太子丹といった
秦王周りの登場人物や当時の情勢なんかについては
ほぼ説明なしで普通に出てきますので、
この辺、全く知識がない人が見ると、把握にかなり苦労しそうだなーというのは
思いましたが(^^;
幸い私は「東周列国」「荊軻傅奇」「尋秦記」なんかで
さんざん観てきておりましたので(ひとつヘンなのが混じってますが(爆))、
この辺りについてはばっちり説明不要な感じで、楽しむことができました。
(ま、要するに、その程度の認識、知識があれば十分ってことです。)

あと、劇中の人物はほとんどの人がテンションがおかしいというか、
ギア一速からいきなり間をすっ飛ばして最高速度に急加速しちゃうみたいな
やたら緩急の激しいというか
(普通に話していたと思ったら何かの拍子に一瞬でテンションMAXに)
そんなところはありましたが、
まあその辺は舞台劇ちっくなお約束(様式美)の世界ということで。


そして大規模合戦シーン

やっぱりこういうのこそ、映画の醍醐味だよなー、と。

最近、特にTVドラマなんかではスケールの都合上
視覚というかたちでなかなかこういった大きな場面を堪能するのは
難しいということがわかったので、
なおさら、素直にスペクタクルを楽しめたのであった。

++++++++++++++

一番最初のとっかかりだった周迅は、

相変わらずきれいでしたが(つーか、キャリア的にはこれはかなり初期の作品なんだよね)、
実は出番そのものは冒頭の数分で終わってしまったという(^^;


他にもちらほら知っている顔がありました。

秦舞陽役、どっかで観たことある顔だよなーと思ってたら、
クレジット見て納得。
そうそう、丁海峰だった!(「水滸伝」の武松や「射雕~」の楊鉄心)
もちろん秦舞陽の見せ場である「あのシーン」もちゃんとありますので、
丁海峰ファンの人はその辺を楽しみにしておいて良いかも知れません(笑)


あと曲洋のおじじこと業志軍さんが出ているらしいのだが、
一通り観た限りでは確認できなかった!
エンドロールのクレジット見た感じだと
限りなく「その他の中の一人」っぽい役なのですが、
これでも爺の識別能力や、画面内の背景に隠れた爺を見つけ出す能力については
江湖でもそこそこであると自負しておりますので(爆)、
おかしいなーと思っていたのですが、
特典ディスクの未公開映像(インターナショナル版はこっちらしい)を観て納得。
そっちの場面でちょこっと出てきただけで、すぐポックリ逝っちゃってたみたいです(^^;
つまり本編では未登場だったわけね。ちょっとガッカリ(^^;
ついでに未公開映像の中には張紀中ドラマでおなじみの
あの「ちびっこ」役者さんも出ておりました。


ヒロインの趙姫役・コンリーは、相変わらずのコンリーだったなーと(笑)

NHK大河ドラマばりの、時代背景を無視した女性キャラとしての図々しい出張りっぷりは
最初のうちはちょっと鼻についたんですが、やがて慣れました。
まあこの映画の場合は、荊軻と嬴政の間の趙姫というのが
おはなしのキモとして使われていたわけなので
(荊軻刺秦王の故事へのこの映画としての解釈として)、これはこれでアリでしょう。


音楽は趙季平(「笑傲江湖」や「水滸伝」の)でした。
その辺も鑑賞に踏み出すモチベーションのひとつとなったのでした。
なんか特典の監督インタビューでは
あんまり従来のものっぽいのは使いたくなかったとかで、
いまいち満足してないっぽい感じでしたが、
とりあえず趙季平クオリティはきちんと保たれており、十分に良かったです。

++++++++++++++++

簡単なまとめとしては、
荊軻刺秦王ものはいろいろなかたちで映像化され、
それぞれに独自の解釈や味付けがされておりますが、
この映画のように、秦王嬴政のほうに、ここまでフォーカスしたものというと
そうそうないんじゃないでしょうか。
やはり中の人の圧倒的な力というのもありますが、
そういう点で、だいぶこれまでに観た映像作品と比較しても
荊軻刺秦王ものとしては評価が高い一本となりました。楽しかったです。
李雪健マジ最高!(←まだ言ってる)


以下ネタバレ↓
・あんまり流れをまとめても仕方がないんだけど、
確認&追体験で余韻に浸るという目的でまとめておこう。

・まず嬴政は、異民族の侵入やら何やらで
秦の民が苦しんだり、兵が命を賭けて戦っていたことを肌で感じていた。
そこで六国を統一して、戦を終わらせることを考えた。

・趙姫のことはずっと好きで、
しかし趙姫の方は趙の人間ということで、嬴政が天下統一を目指す中で
いずれ自分の祖国も滅ぼされることになることを嫌い、
そして秦へ来て以来、自分が嬴政の側にいることが
必要とされてはいないのかも知れないとも感じて、
嬴政と別れて趙へ帰ろうとしたのだけど、
嬴政が自分へ向ける思いの強さと、自分自身が嬴政に抱いていた思い
嬴政が覇権を求めるだけの他の王は違い、
天下を統一して民を救ってくれる王だと信じた。

・で、そのために燕を攻め滅ぼすための口実が必要になったので、
自分が嬴政に必要とされるため(嬴政のために出来ること)として、
燕の太子丹を逃がして、嬴政へ向けて刺客を出させる手引きをさせる役を買って出た。

・この時点で、趙姫はたぶん、
自分で言っていたように、咸陽の後宮でお人形さんみたいな暮らしをするのは
耐えられなかったということ、
そしてもう一つは嬴政のため、という
二つの動機があったのではないかと思える。

・この趙姫と嬴政の別れの場面は、
後にこの場所で何が起こるかが観ているほうとしてはわかっているだけに、
なんつーか、二度とは手に入らない美しい思い出のようなものとして、
とても感慨深い場面であった。

++++++++++++++++

・荊軻は刀匠の娘(周迅)の死がトラウマとなって刺客を辞め
物乞い同然の暮らしをしていた。

・そこで趙姫と出会って、
お互いに触れ合う中で、人間性を取り戻していったというわけだ。

・趙姫のほうは、当初、計画の手駒として使うだけのはずだった荊軻に
結構感情移入してしまい、
太子丹に脅されても、荊軻を再び刺客に戻してしまうことを拒むようになった。

++++++++++++++++

・咸陽では、嫪アイと皇太后の不倫が発覚し、
嬴政が怒るのも当然なわけで、
その後のドSな仕打ちはさすがにやりすぎではあったが(笑)、
しかし心を許せる相手であった趙姫が手元にいないということが
やはり影を落としていたというのはあったのだろう。

・で、嫪アイに対してあんまりにもやりすぎたもんだから
逆切れした嫪アイが「出生の秘密」を暴露してしまったため
アイデンティティ崩壊の危機に。

・呂不韋が父ということがわかって、
わかってしまったことによって、そこで呂不韋を殺すことができない嬴政というのは、
やっぱり趙姫へ向ける思いからもわかるように、
本来、とても情の厚い人なんだろう。

・しかし呂不韋は逆に自分が死ぬことによって、
息子である嬴政の潔白を証明して見せてしまい、
こうなると、嬴政の怒りのはけ口は、
今の自分をこんな目にしたのは
かつて人質になっていたときに
さんざんいじめてくれた趙が悪い!という風に向かってしまったというわけだ。

+++++++++++++++++

・邯鄲で趙姫と嬴政が再会した時に、
確かにだいぶ虐殺はしてしまいましたが、
まだかろうじてやりなおせるチャンスはあったはずなんだよね。

・結局、助けてあげるはずだった餓鬼どもが
あまりにもかわいげのない態度を取るものだから、
埋めてしまえということになってしまったわけだが…

・しかし、ここははっきり言って、趙姫も悪いと思う。
趙姫がちゃんと嬴政の求めに応じて、あの時一緒にいてあげれば、
こんな悲劇は防げたのではないかと。
そんなわけで、一方的に嬴政をモンスター呼ばわりして非難する趙姫には
ちょっと一言言いたくなってしまったのであった。

++++++++++++++++++

・趙姫の打ちひしがれた様子を見て、
荊軻は彼女のために、一度は捨てた剣を取ることを決めた。

・樊於期は、最初、一瞬だけどうして燕に逃げてきたのかわからなかったんだけど、
要するにあの時、後宮にいて、
口封じのために始末されそうになっちゃったから
それで逃げてきたってわけなんだね。
だから決して嬴政に、確かにそのドSなやり方にはドン引きはしていたものの、
表立って反発するとか、歯向かうとか、そういうわけではなかったのだ。
そういう点では、居場所をなくしたかわいそうな人と言える。

・で、嬴政の王としての資質を認めながらも、
あまりにもドSなところも心配はしているわけで、
荊軻の覚悟によって嬴政が止まるというのなら、
残り少ない自分の命も差し出してみせたということか。

・しかし、この映画において
一番の差別化ポイントといえる「刺客を送ることはそもそも出来レースだった」という点
これについて樊於期は知らないままだったというのは、また哀れではある。

++++++++++++++++

・そして最後
嬴政としては、かつての打ち合わせどおりに
趙姫が約束を果たして刺客を送ってきてくれたということで
ウハウハだったわけで、
しかし荊軻のほうは、趙姫からそんな嬴政の思惑を聞いていたので、
それを逆に近づくのに利用したというわけだ。

・しかし、表向きでは出来レースということになっていたままだったわけで、
それで剣を預けたときに刃を折られてしまっていたんだね。

・ん?
それとも、あの刃の折れた剣というのは、
最初から趙姫がああいうものを持たせたということ?
(つまり、趙姫は嬴政に対する情を捨て切れてはいなかった?)
いや、さすがにそれはないか。

・実際に襲い掛かる/襲われる場面では、
緊張感を切らさずにスパッと片付けたのは良かった。
もちろん荊軻が事切れた後での、勝利者のはずの嬴政の慟哭も良かった。

・最後に荊軻の遺体を取りに来た趙姫の求めに
素直に嬴政が従ったというのは、
自分が趙(趙姫)に対してやったことというのが
わかっていたからなんだろう。(贖いの気持ち、というか。)

・しかし、それで割り切れたのかというと、
そうはならないくらいに情が厚いのが嬴政という人なわけで、
最後の趙姫が振り返って去って行く背中に「趙姫!」と叫んだのは
まさにそんな思いがあふれ出たというわけでした。




・と、そんな感じでだいたい内容はまとまった。

・やっぱりこの、情に厚くて、
それでいて、統一へと突き進むうちに
大切なものをいくつも捨てていかざるを得なかった嬴政というのは、
何度も言いますが(何度でも言っちゃいますが(笑))、
中の人の素晴らしい演技とあわせて、実に魅力的であった。

・そして趙姫、
まあ、確かに特に間違ったことはしていないはずなんだけど、
それにしても、基本的に自分の感情で動く人だよなーと(^^;
見方によっては、かなり自分勝手のワガママではある。
自分の気持ちばかりで、あんまり「相手の気持ち」を考えてないよね、この人。
(特に嬴政に対してソレは顕著だと思える。)

その辺がコンリーがコンリーたるゆえんなのかも知れんが…
でも以前「黄金甲」の時にちょろっと出たネタじゃないんだが、
これが章子怡だったら、絶対もっとひどいことになってただろうなー(笑)

・太子丹は、かなり救いようのない終わってる奴だったが、
まあ実際、コイツのやったことを考えると、これくらいの評価が妥当なんだろうな(笑)

Secret

QLOOKアクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。