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2008.04.21 王妃の紋章
満城尽帯黄金甲
2006年 中国
原題:満城尽帯黄金甲


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唐王朝滅亡後の五代十国時代を舞台とした
とある王家の家族にまつわる愛憎劇。
国王には長子・祥、二子・傑、三子・成の三人の王子がいた。
祥を産んでから早くに亡くなった妻の後に、
国王は遼の国から後妻を王妃として迎えていたのだが、
長いこと病を患っている王妃に対して国王が調合している薬の中には
ゆっくりと体を蝕む毒が込められていた…
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というわけで観て来ました。
ざっと見たところ、どうも江湖ではおおむね不評な感想が多そうですが、
意外なことに私はだいぶ楽しめたという感じでした。
(基本的にへそまがりだということを差し引いても。)

そう感じた理由というのは、主に

→この手の大作系映画にしては、比較的人物が描けていたということ
(人物の心の動きや考えという点に、それなりに納得のいくように重心が置かれていたということ)

→お金をたくさんかけただけあって、
さすが衣装やセットなどの豪華さは、やはり大作系ならではのクオリティがあったということ
(ドラマなどに比べると短い時間に凝縮された古装の世界にどっぷりとひたれたこと)

→プロット運びが浮ついたものではなかったため、
この手の大作系だと「見た目だけでどこか入れ込めないものになりがち」なアクション描写も
「なんでここでわざわざ入れるんだろう?」という疑問こそ浮かぶものの(笑)、
なんだかんだで楽しめてしまったということ

総じて、様式美的な楽しみ方ができたというのが大きいでしょうか。
観終わった後に何か残るものがあるかというと、それはなんとも言い難いところですが、
しかし近年の、妙にテーマとやらを追求して、せっかくの大掛かりな舞台装置が
「見た目ばかり」のものとなってしまっている大作系映画に比べると、
少なくとも娯楽性という観点では、上述のように
ずっと考慮されていたのではないかと思えます。
そしてその辺のポイントをとりあえず押さえてさえおけば、
物量の力というものがあるので、やはり大作系は強い。
・出演している演員さんが好き
・古装が好き

この辺の層なら、とりあえず観ておいても問題はないというレベルには
達しているのではないかと思われます。

しかし、いまさらながら
この記事を書きながら確認して吹いたんですが、
第一王子の祥の中の人って
まさに最近観てた「荊軻傅奇」の主人公、荊軻じゃないですか(笑)
なぜか観ている間は全く気がつきませんでした@@
やはりひげの生えていない男性の顔というのは
識別能力がガクリと下がるな…


以下つらつらとネタバレを含む感想↓
・コレは、基本的には
近年のワールドカップやオリンピックなどに見られるような
汚いものはとりあえず塗りたくってうわべを取り繕えば良い
という今の中国政府(というより、歴代の権力そのものか)に対する
批判(皮肉)ではないだろーかと思うのですが、
いかがでしょうか。

それまでさんざんドロドロした愛憎劇と
それに付随した大量の人死、流血をしておいて、
朝になって全部きれいに花を並べ替えて、じゅうたんもきれいにしたら
何事もなかったかのように取り繕われる…なんてのは、
そんなことをしても本質、そして起こったことは何も変わらない、という
滑稽さの表現ですよね。
少なくとも、単純な賛美なわけはないと思います。
いえ、もちろんこれはあくまで私の考えであって、
実はぜんぜんそんなのはただの深読みでした、というオチもあるかも知れませんが。

・でも、あれこれ反国家的な要素を入れると
検閲にひっかかるというイメージのあるあちらの国なんですが、
こういう表現をしておけば、さすがに咎められるってことはないんですね。

+++++++++++++++++

・とりあえず、捕まえたいなら網を使えばいいのにと思った。
最近あれこれの武侠ドラマで
投げ網を使われると、かなりの使い手でも多勢相手だと容易に捕縛されてしまう…
という状況を目にして来ているので
あんなに人的被害が出るような状況なら
網を使えばいいのにと思った(笑)
まあ、あの場面は、「母后のためにヒタスラ戦う」という姿、というのが趣旨だったわけで、
その辺の情緒を考えるとNGだったのかも知れんが(^^;
でも投げ網に絡め取られて最後には動けなくなる…みたいにしても
別に問題はなかったよね。


・王様が最後に生き残ったというのは、
なんだかんだで、個人的には良かった。
いや、もちろん、跡継ぎの子供はいなくなってしまって、
愛する人もいなくなってしまって、と
本当に一人ぼっちになってしまったわけで、
そうなるとはたして幸せといえるのだろうか?というのはあるのだけど。
基本的に黒い人であり、
自分の立身出世のために踏み台にした先妻の人を
証拠隠滅のためにその家族もろとも消してしまおうとしたりと
この辺のことをやってしまったからには
因果ゲージが溜まってしまったので
無事に済むことはないだろうとは思っていたのだが、
ともかく死ななかったのは、まあ、良かったということだ。
北宋でいろいろあったおかげで、
あんまり人の生き死にには執着することの少なくなった最近ですが、
それでもやっぱり死んでしまうよりは生きていた方が良い。

・国王が望んでいたものというのは、なんなのか
このへんが、物語全体を通して
いまひとつきちんとフォーカスされていなかったかな、というのはあるか。
権力の座を手にした今、
とりあえず王様をやっていく(維持していく)こと、ということなのだろうか?
それとも、家族仲良く暮らしていくということ?

その国王にとって、今の妻というのは
憎らしい、忌々しい相手であった、というのは明らかなわけなのだけど、
それについても、きちんとはっきりした解答、というのは
示されてはいなかった気がする。
「何がそんなに気に入らなかったのよ?」ということだ。
単純に性格がイヤだった(ので、その存在が邪魔だった)のか、
はたまた自分の求めていたものを先妻は持っていて
自分の選択であったとはいえ
結果的に今の王妃のためにその先妻を捨てることになってしまったわけだから、
それに対する不満のはけ口ということだったのか。
それとも、実の子ではない、第一王子との不倫?
(考えてみたらこれが一番可能性が高そうだ。)

・そんな国王だから、今の王妃の血をついでいる第二、第三王子に
愛情というものを注げないということについても、
まあわかる。
だから、クライマックスの場面で怒りに駆られて
そのまま末の息子を殴り殺したというのも、わかる話である。

・ただ、その割に一番愛している第一王子を
なぜ後継者の座からはずそうとしたのか。
この辺も、やや説明不足感がある。
とりあえず、国王がこの第一王子へ注いでいた愛情というのは真実のものであるだろうし
(これは看病している場面からもわかる)、
それはたぶん、先妻が一人、残した息子だからというのも
あるんじゃないかと思われる。
となると、単純に器ではないと考えたのか(私情と公の責任については別の話ということ)?

++++++++++++++

・そのへんのお話の内容は置いておくとして、
アクションはやっぱり素直に楽しかった。
親子の対面からいきなり始まるチャンバラとか(笑)、
上から糸につるされてヒーヒー言いながら襲ってくるNINJA軍団とか、
そしてクライマックスの盾とか(笑)
「そこでそんなアクションを入れる必然はあるのか?!」
「それはどう考えてもやりすぎだろ!」
この辺をニヤニヤしながら観るというのが、
やはり大作系映画の正しい見方のひとつであると思えるし、
存分に楽しむことができた。
侍医の人が薬のまぜまぜ棒でチャンバラをしているのも
地味ながら笑ったポイントだ。
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