・ストーリー原作をちゃんと読んだ上でないと、評価はできないのかも知れませんが、
とりあえずこのドラマについて。
基本的な流れは原作に忠実に沿って進みながらも、
要所要所で省略を入れたり、改編、組み替えたり、
あるいは独自に味付けをしたりということで、
そういった改編自体は全体的に見ると一長一短…いや、
むしろ良かったほうに少しおつりが来るくらいでしょうか。
ドラマ全体の前半部分を「集結する好漢たちの物語」として、
そして後半以降を「宋江という一人の男の物語」として
きっちりと描き上げたというのは見事です。
最初のほうは結構出番があったものの、途中からフェードアウトして、
合流してからはめっきり目立たなくなっちゃった…
みたいなキャラクターも少なからずいましたが(^^;
まあ、それはそもそも原作からしてそういうところはあるみたいだしな。
改編部分の大きなポイントとして、
お上のお達しによって(リアルの話ね)妖術や星の宿命といった
もともとの原作が持っていたオカルトな要素が全部カットされたというのがあるようです。
これもやっぱり一長一短で、
公孫勝や高廉といった妖術使いの人たちの出番がなくなってしまったのは
なんとも残念ですが、
そのぶん、まじめで現実的な人間ドラマとしての面が
よりフォーカスされたのではないかというのもあると思う。
まあ、いつかこの辺を完全に映像化したものも見たいという気持ちはあるけどね。
結局、物語は勧善懲悪などではなく、
悪は悪でのさばったまま、好漢たちが離散して終わってしまうというのは
確かになんとも消化不良な感じがしないわけでもないのですが、
ただもっと大きな視点に立って、
これを宋江という一人の男の生き様の話として見ると、
こういった終わり方というのも、決してなしではないと思う。
もちろん、悪は皆やっつけられた!でスカーンと終わっても楽しいことは楽しいんだが、
最後まで観終わった後の、なんともいえぬ余韻
これはやはり100%ハッピーエンドではない終わり方をしたがためとも言える。
途中の各話感想に書いたけど、
三国志もそうだし、これもそうだからこそ、
こうして、いつまでも人々の間に余韻を残して
ずっと語り継がれてきたのかもね。
閑話休題
ともかく、途中でタメの展開がやや長かったりといったことを感じることもありましたが、
全体としては43話、
最初から最後まで退屈することなく楽しめました。
・音楽音楽は、良かった! 素晴らしかった!
今回は珍しく手放しで褒めちゃいますよ(笑)
このドラマの音楽は、
劇伴曲によってグググッと感情が高まって揺さぶられるレベルでした!
二胡や蕭といった伝統楽器とオーケストラを組み合わせた楽曲のかずかず
戦いになるとかかる元気の良い曲
オープニング、二種のエンディング
劇中に挿入される男声女声いくつもの挿入歌
全てが画面と一体となって、演出効果を二倍にも三倍にも高めておりました。
これは本当に良かった!
さすが趙季平、というべきか。
ところで、「射雕英雄伝」の音楽も良かったのですが、
あれの作曲を手がけた趙麟って、この趙季平の息子さんらしいですね。
びっくりしたと同時に、なるほどな〜と納得です。
・アクションアクションも、何度も書きましたが、
期待を大幅に上回る出来でした。
正直、観る前は「三国演義」レベルかなーと思ってたんですが、
これがかなり丁寧に殺陣が設計されていると感じられ、
そんでまた役者さんたちもよく動くんだわ。
(一部、王英とかは差し替えだったけど^^;)
基本的に好漢のみなさんは一人一人得意とする得物があるわけで、
当然、人によって動きが変わってくるわけです。
林教頭なんかはやはり棒や槍を持たせると無茶苦茶かっちょいい動きをするし、
魯智深の禅杖もダイナミックで力強いし、鉄牛のまさかりなんかもまさに黒旋風!
てな具合にアクションはことのほか楽しめました。あと鞭も格好良かったしな。
武器を使わない肉弾戦も結構多かったけど、それぞれ動きが凝っててこれも見ごたえあった。
やはりアクションをばっちりやっていたというのも、元祖・武侠ものの面目躍如か。
各話感想でも動画へのリンクを張りましたが、
http://jp.youtube.com/watch?v=u7GEAm8DCxY&feature=relatedhttp://jp.youtube.com/watch?v=w0AS7pUh-Gw↑このレベルの殺陣が全編通して堪能できました!
これも前に書きましたが、ノリのいい音楽で殺陣の興奮が倍増してるところもやっぱりあるよな〜。
・キャラクターストーリーのところにも書きましたが、
それなりに、ムラはありました(^^;
加入まではかなりクローズアップされてた割に加入後はほぼフェードアウト状態の楊志とか、
晁蓋の死以降はこれまた出番がなくなった劉唐とか、
そもそも見せ場そのものを大幅にカットされた史進とか(^^;
ま、ほとんどは原作の問題ってのもあると思うので、
言っても仕方ないとは思いますが。
あと原作改編の都合でいつの間にかひょっこり登場していたり、
名前すらろくに出てこないまま終わっちゃった人とかもいたよなー(^^;
原作ファンの人からしたらこの辺はいかにも残念に感じるところだろうとは思う。
しかしキャラクターが描けていないかというと
もちろんそんなことはなく、
やはり好漢たちの魅力はばっちり描かれておりました。
林冲、魯智深、武松、宋江、晁蓋、呉用、李逵、燕青…
この辺のメインで出張ってた人たちは完璧ですね。
あとは朱貴や王英、花栄、戴宗、時遷みたいな
要所要所で出番のある人たちもなかなか「美味しいなぁ」と思わされる出来でした。
これだけ魅力的な好漢、兄弟たちをたくさん出しておきながら
それを容赦なく殺戮していく終盤は
それだけにキツイものもありましたが(^^;
でもまあ、繰り返しになりますが、宋江という人物の物語として見れば
終盤の怒涛の流れの果てに、生死はもはや問題ではないと感じるようになったというか。
私は基本的に、ドラマを観る時はかなり入れ込んで観てしまうのですが、
そうするとやっぱり思い入れのある人物の死を体験すると
かなりダメージを受けるんですよね(^^;
それが、もう最後のほうではほとんどなくなってきた。
これは「東周列国」でたくさんの人と死を観た時にも
一時的に今のように感じるようになったんだけど、
あまり生き死ににそこまで頓着することがなく、
達観した視点を身につけることが出来れば
もっと先のレベルへ行けるかも知れない。
(いったい何の話だ?)
個人的な好きな人物ランキングを挙げるなら、
1、鉄牛
2、林冲
3、魯智深
という感じか。
鉄牛は、このドラマでは原作に比べるとかなりマイルドに描かれてはいるらしいんですが。
でもやっぱりこの異常なかわいさにはヤラレタ。
これは中の人に佩服(-入-)ですね。
林教頭は前半の主役ってことで言うに及ばず。
そういや、いつの間にか楊志から家族のことは聞いてたんですね。
魯智深は、これまたドラマと原作では最後が違うみたいですが、
でもやっぱりこっちを先に観たからってのもあるのかも知れないが、
自分から俗世への未練がなくなったというこっちのほうが好きかなー。
次点で呉用、燕青、武松ってとこかな。
巷ではけっこう嫌われているらしい宋江は、
なんだかんだで終盤、かなりもどかしいところはあったとは言っても
決して嫌いじゃないんだよね。
最初のころの小動物っぽいところとか、
基本的に腰が低くて相手のことをちゃんと認められる器の広いところとか。
つーか、そもそもこいつを嫌いになってしまったら
この水滸伝という物語の三分の一近くにおいて
かなりのストレスを感じ続ける羽目になってしまうと思うんだが、
そこのところはどうなんだろう?(^^;
(何しろ兄弟連中はみんな宋江哥哥が大好きという大前提があるからな)