あらすじ一灯大師の話は続く。
周伯通にやりこめられた劉貴妃はすっかり周伯通に懐いてしまい
彼から武術を教わっていた。
周伯通もその性格から男女の区別をせずに彼女と親しく付き合ったのだが、
問題は二人とも血気盛んな年頃であったということである。
いつしか二人は互いに愛し合う仲となってしまった。
このことはすぐに王重陽によって明るみに出された。
段皇帝(当時の一灯大師)は劉貴妃と周伯通を結婚させようとしたが
周伯通は罪悪感から逃亡。
残された劉貴妃、そして段皇帝の間の溝が埋まらない内に
劉貴妃は子供を産んでしまった。
それは紛れもなく周伯通の子だった。
ある晩、謎の刺客が劉貴妃の傍らの赤子を襲い傷を負わせる。
段皇帝は劉貴妃から治療を懇願されるが、
そのためには自らの内力を犠牲にしなくてはならない上に
今でも劉貴妃の心は周伯通に向いていることを知ると、
葛藤の末に段皇帝は彼女を拒絶した。
赤子の苦しみを終わらせるべく劉貴妃は自らの手で子を殺し、
そしてその髪は真っ白に染まった。
段皇帝への復讐を誓うと彼女は姿を消したのだった。
話の終わった一同の下へ瑛姑=かつての劉貴妃が寺院へ襲来することが伝えられる。
一灯大師は瑛姑の苦しみを終わらせるべく自ら彼女に討たれる事を望むが、
四人の弟子と郭靖が彼女の前に立ち塞がった。
弟子たちを退け、そして郭靖をもやり過ごした瑛姑は
周伯通はすでに自由の身になったという黄蓉の知らせをも意に介さず
薄暗い本堂に座したままの大師に突きかかった。
復讐を遂げたことに喜ぶ瑛姑だったが、
その背後に大師が姿を現す。
彼女が大師だと思って刺したつもりだったのは郭靖だったのだ。
無防備な姿をさらす大師を前に瑛姑は復讐の虚しさを悟ってしまい
その場から走り去る。
彼女が偶然、郭靖と黄蓉を捕らえようとした鉄掌幇の手中に落ちたのは
それからおよそ一月の後のことだった。
尼寺に身を置いていた穆念慈は尼僧から自分の妊娠の事実を告げられて驚く。
偶然それを立ち聞きしていた楊康は喜ぶが、
念慈は楊康の下で生まれてくる子を育てる気はもはやなかった。
きっぱりと彼を拒絶すると、彼女は寺を発つのだった。
大師のもとで偶然知った九陰真経の治療の奥義を修得しつつ
一月を過ごした郭靖と黄蓉のもとへ郭靖の鷲が
黄薬師のものと思われる衣服の血のついた切れ端を届けた。
不吉な知らせを感じた二人は大師に別れを告げて一路、桃花島へと旅立つ。
町で船を探す途中で念慈と出くわした二人は思わぬ再会に喜ぶが、
すでに楊康を捨てた念慈の心にはただ無常観しかなかった。
郭靖と黄蓉が頼んだ船の船頭が鉄掌幇の者であることを警告すると
念慈は一人、臨安の牛家村へと去って行った。
罠と知りつつも郭靖と黄蓉は船に乗る。
しかし郭靖が蒙古へと帰らねばならない時は着実に迫っていた…
Pick Up
「当然だわ。周伯通のあるところ、天下大乱に見舞われるってね」
すごい言われようだけどもはや全く否定できない…(笑)
周伯通をご存知かと聞かれると
蓉儿は相変わらず「十数年来の友達」とか嘘ついてますが
まあこれは嘘というよりは桃花島にそれくらいずっと周伯通がいた
ってことを説明する上での言葉のあやみたいなものかな。

「靖哥哥と義兄弟の契りなんか結んだのよ」というこの流れ
普段なら周伯通は相変わらずだなといった類の反応が返ってくるはずなんですが、
何ともいえない沈黙で気まずくなってしまうところが
いつもと違っていいですな

「越えてはならない一線って何のこと?」

なーんて真顔で聞き返されたらそりゃ困っちゃいますよね(笑)
蓉儿はタマにこうしてボケ役をやるから面白い

体中の穴道をおさわりって…@@
老頑童は子供のくせにエロイね。
ともかくこうして、これまでの周伯通の不可解な行動の動機が
いろいろと明かされたわけであります。
(まあ奴の行動の大半は不可解という点はこの場は目を瞑るとして)
桃花島でまとまった郭靖と黄蓉の縁談の邪魔をしたのも
単なるいたずら心ではなく良かれと思ってのことだったんですな。
あとあの場はそれに加えて「義兄の言いつけを破って九陰真経を盗み見たのか」と
黄薬師に糾弾されたことに対する言い訳として
郭靖に責任をなすりつけてたという感じも多少はあった気がしますが…

またもや大ボケ炸裂の蓉儿
まあ子供は腋の下から出てくるとか足の指とか
そんなことを結構本気で悩むような娘だから仕方がない(笑)


地味なのでスルーしがちですが、
この子供を襲った犯人、ちゃんと皇帝付きの侍従と同じ格好に変装してたんですね。
だから劉貴妃が段皇帝の差し金だと思い込んだのも
何の根拠もなくってわけではなかったというわけですな。


また日本語字幕のせいでいらぬ混乱を招いたこの台詞
最初は「間近に控えた崋山論剣で勝つことができなくなり〜」と言っていたので
普通にコレは崋山論剣の前の出来事かと思ってたんですよ。
でもよく考えてみると王重陽が段皇帝を尋ねたのって
前回「王重陽が九陰真経を手に入れた翌年に」と言ってるわけで、
てことはすでに崋山論剣は二年前に終わってるんじゃないの?と。
ところがよくよく考えてみると台詞としては
「王重陽が九陰真経を手に入れた翌年」と言っているわけで、
崋山論剣の翌年とは言っていません。
あれあれ? てことは王重陽が崋山論剣の前に
すでに九陰真経を発見して手に入れていて、
(一応周伯通の説明では「どこからともなく世に再び現われた」
としか言われてないことだし)
そこから改めて崋山論剣で、九陰真経の所有権を公正に賭けて争ったってことか??
などとあれこれ混乱したのですが、
要は「日后的崋山論剣」と言われてるのは
「将来、いずれ来る次回の崋山論剣」って意味でだったんですね@@
だから実はそれってこの事件から二十年くらい先のことなんですが、
それすらも懸念して気を消耗するのを恐れたという
段皇帝の武術への執着がわかる台詞というわけだったのです。たぶん。
つーか、字幕をつけた人は前後関係のつじつまが合わない点について
何も疑問には…まあ思わなかったんだろうねorz

で、そうわかると段皇帝が治療をしてあげなかったことに対する見方も
ちょっと変わってはくるんですが、
でも気持ちがわからんでもないからなぁ。
蓉儿の指摘した通り段皇帝自身も劉貴妃を愛していたわけで、
それが別に好きな男を作って子供までこさえて、
仕方のないこととはいえこの期に及んでまでそっちの相手とノロケられてはね…@@
誰が悪いというわけでもないからこそ
悲劇は悲劇とも言えるわけなんですが、
まあ責任取らずに逃げ出した老頑童が一番悪いな(笑)

瑛姑のあまりの壮絶な過去話にどちらともなく手を握り合う二人
改めてこうして見てみるとやっぱり確かにすごい話でしたね。
メインとなるテーマってほど仰々しいものでもないんですけど、
「親が子へ示す愛」というのも何気にこの物語の中では
様々な親子たちの人間模様を通して描かれています。

これから自分を殺そうとしている相手の将来を案じて世話を頼む一灯大師
南帝ってどうも初見の時はやはり他の人に比べると地味で
印象に残らなかった感じがあったんですが、
コレマタ改めて見るとこんなにすごいいい人だったんですね@@

そんな大師をみすみす死なせてしまうようでは主人公失格…と思っていたので
初見の時はここで妙に物分り良さげに引き下がってしまう蓉儿に
やや失望していた記憶があります。
でも実はこの時、この娘はもうすでに頭の中で作戦を立ててたんですよね。
説得するよりはそっちのほうを進めちゃおうってことで。
よく見たら台詞の最後に妙にニヤリとしていましたな@@

林の間を残像を残しながら軽功でスタスタすごいスピードでやってきた
この妖怪じみた演出にそんな事態じゃないとは知りつつもワクワクです


相手が本気で殺しには来れないってのがあるとはいえ
二対一を危なげなく捌く瑛姑はやっぱり強いですね。
もともと素質があったと言ってたし
周伯通にも習ったから当然といえば当然か
日本語字幕ではスルーされていますが
漁=水軍都督
樵=大将軍
耕=大総管
読=大丞相
ということで要はこの人たちは弟子というより
段皇帝の元家臣だったんですね。
まあ皇帝自身が武術家だから弟子といえば弟子なんだろうけど。

やっぱり出てきた郭靖
そこで立ち塞がらなきゃ主人公じゃないぜ

…と安心したのも束の間
本気で相手を殺りに行けない弱みを突かれ
あっさり瑛姑の罠にはまってバシャーン@@
でもこれすらも実は計画のうちだったという
なんかもう完全に見てるこっちが翻弄されてるなぁ

最後の砦・蓉儿
やっぱこの手の頭脳戦こそ本領発揮か
おまけに瑛姑の想い人=周伯通という事実が発覚し
弱みを握ってしまった今
もはや完全にこの娘のペースというか、なんというか(笑)
作戦としては要するに二段構えで、
実力や説得で止められるならそれで結果オーライ
ダメならダメで今のうちに郭靖が本物とすりかわるための
時間を稼いでおいたというわけか。
…というか四人の弟子といい郭靖&黄蓉といい
「丁重に通してやれ」という一灯大師の言いつけを誰も守ってない(笑)

このあたり、ちょっとわかりにくかったというか
水に落ちたはずの郭靖がいつの間にか先回りしてたり
刺さった手ごたえはなんだったのかとか
やや寸詰まりな感はありましたが
(たぶん文字で表現されているとそれほど違和感はないのかも)

オーミートーフォー
九陰真経の秘密もまた判明し、誰も死なずに済んだし
結果オーライなのでした

話の間ずっと念慈さんは楊康を一瞥もしてないんですよね。
細かいので注意してないと気に留まらないことかも知れませんが
「どこへ帰るの?」と口を開く時まで一度も楊康を見てない

今度こそようやくこの二人のグダグダにも決着がついたようです。
ここまで長かった@@
やっぱり母親になると女性は変わりますね。

お別れに際し

どちらともなく立ち止まって礼
これもまた旅をしている感覚が感じられて何とも心地よい
そしてその後の「今度ケガするときは二人一緒だ」の会話といい
この子たちは本当に心が清らかで気持ちがいいね@@

ドサクサに紛れて瑛姑さん捕まっちゃった@@
あの寝てた場所は罠で守られた黒沼の庵じゃなかったのか??

ばったり出会った
まるで誰かさんの人皮仮面モードのような笠を被った穆姑娘
ほんと世の中せまいですな@@
なんで鉄掌幇の構成員の顔を知ってるのと一瞬思うのですが
そういやこの間までアジトに滞在してたんでした。

いつもしあわせで純真無垢な二人に
穆姐さんの気持ちをわかってやりなさいというのは
ちょっと無理なのかもね。
蓉儿は人の心を読むことはできても
あいかわらず男女関係にはまるで疎いのでした。

武穆遺書に関する謎解きのまとめの一場面でした。
もともとは臨安の宮廷にあった遺書を上官剣南が持ち出して鉄掌峰へ。
で、代わりに在り処のヒントを書いた絵を隠しておいて、
それを曲霊風が持ち出して酒場の隠し部屋に。
宮廷に完顔洪烈一味が入った時には何もなかったってことですね。
このちょっとした謎の構成
そして偶然天の導きのようにそれらが解かれて行ったという筋書きは
抜群に面白いです。
日本語字幕だと、前に鉄掌峰で上官剣南の存在を完璧にスルーしたクセに
いきなりここで名前を出してるから何のこっちゃって感じになってますが。

蓉儿と別れたくない靖哥哥は
いくつも「やらなくちゃいけないこと」を考えてみますが
それでも夢はいつかは覚めるもの

そのことをふと思い出してしまった蓉儿の気持ちはめっきりと沈むのでした…
だんだん物語も終わりに近づいてきたなということを感じさせながら〆
こうして南帝を巡る一連のクエストには一応の決着がつき、
郭靖と蓉儿は新たな旅立ちを、
そして長かった楊康と念慈の関係にも終止符が打たれ
徐々に物語が収束へと向かい始めたことを予感させます。
第七部・絆編は今回から次回にかけて終わり
第八部・復讐編に入っていくという流れであります。
この絆編は言うなればこの先、怒涛のラストスパートへと向かっていく前の
嵐の前の静けさ…とも形容できるものであったかも知れません。
南帝・一灯大師に瑛姑、そしてまさかの周伯通の因縁は
なかなか興味深いものがありました。
時系列でいうと周伯通が黄薬師夫妻と会ったあの頃はもう王重陽の死後ですから
今回語られた事件のだいぶ後ですね。
あの時「女頑童を娶ったら…」とか会話の中で言われても気にしてはいないようでしたが、その頃にはもう吹っ切れていた…というか、
もう女には近寄らないと決めていたのかな。
ともかく、今回は一灯大師の人格者ぶりが印象的な一話でした。