嵐のような勢いではないですが、
コンスタントに鑑賞を続けて終了した「断仇谷」でした。
やはり知名度でいうと昨今のドラマに比べるとだいぶ劣ると思うのですが、
しかしこれも決して古い作品じゃないんだよね。2003年だし。
賛否両論出るかとは思いますが、
もっと多くの人の目に触れても良いんじゃないかと思える作品でした。
少なくとも「大○英●伝」なんかよりは
よっぽどドラマとしてマトモだし、真面目に作ってると思うぞ(笑)
(もはや比較対象としてすら成立していない気もするが…)
ネタバレなしのインプレッションとしては、
以前「
断仇谷のススメ」に書いたことでだいたい全てです。
物語中盤以降になると結構ハードな展開が続くのですが、
しかし決してドラマそのものとして劣化が見られるといったこともなく
また
アクションに関しては最初から最後まで
まったく退屈することなく観られました。
立ち回りがいちいち凝ってて見ごたえあるんだもんなぁ。
というわけで
つらいことや楽しいこと、みんなひっくるめて人生という
江湖に生きる人たちそれぞれの思い、策謀、それぞれの戦いなどなどが
ひとつの大きな流れの中でさまざまに描かれ、
堅実な作りの人物群像劇としてなかなか楽しかったです。
基本は武侠ドラマではあるんだけど、かなり現実志向です。
以下ネタバレ込みで↓
・ストーリーこれはなんとも評価が難しいところだな…
前半は文句なしに良かったんですよ。
ただ、中盤以降になると前半の能天気さが翳って
代わりに人の世のつらさ、厳しさばかりが見えてくるようになってしまったというか。
ありていにいうとちょっと「善人がひどい目に会い、悪人がはびこる」というのが
多すぎた。
このおかげで、確かに最終的に味わい深いものが残るってのはあるんだけど
ちょっと見ていてつらくなってきてしまったのも事実だ。
この辺り
なまじ「ススメ」のほうに書いたとおりに
スキのない構成とそこまで積み上げてきた丹念な人物描写があるだけにこっちが受けるダメージも倍増なんだよね(^^;
確かに世の中は必ずしも都合のいいことばかりじゃないってのを表現するのは
良いことだとは思うんだが、
それでも物語の世界の中では
もう少し、こう、救いがあってもいいんじゃないかと思いたいのよね。
ま、一番最後に有為&英姑はちゃんと幸せを掴んだわけだし
それは確かに良いんだけどね。
ちょっと人死やダメージが大きすぎた。
その辺は、ひとえに私が感情移入して観ていたからというのが大きいと思うので、
それはおいておくとして、
物語そのものに関していうならば
無駄に手を広げず、できる範囲の中で話を膨らませていって
きちんときれいに破綻なくまとめたというこの腕前は評価に値すると思う。
いろいろな人の思惑が交錯して、
例えば「断仇谷の財宝」という一大ガジェットについて
石大哥や有為といった主役がほとんど絡んでいなかったというのも
また実にこのドラマらしいというか(笑)
要するに、これはあくまで「英雄の物語」ではなく「江湖に生きる人々の物語」
↑にも書いたけど群像劇ってことなんだな。
・音楽それほど特筆事項はないかな。
OP・EDはよかった。
あと戦闘の場面になると毎回かかるアップテンポの曲も派手さはないものの
毎回かかるからそのおかげで「きたきた!」って気になって盛り上がる効果はあったし、
コメディシーンで流れるなんともマヌケな曲も雰囲気の演出に一役買っていた。
ただ、音楽の効果によってググッと気持ちが盛り上がるようなことはなかったかな。
平均的な劇伴曲の水準は十分に満たしていたという感じでしょうか。
・アクションこれは見ごたえがあった。
さすが、洪金寶監修はダテじゃない。
特に
劇中の絶対強者は立ち回りの上でもインチキなしで強く見えるってのはスゴイ。
相手が刀を握るこちらの手を狙ってきた
↓
刀をぱっと放して腕をかわした後に
↓
刀を空中でキャッチ、再び動きに戻る
みたいなトリッキーな動きも
ちゃんと流れの中でわかるという演出方法は見事。
役者さんたちも実によく動いていました。
これ、ほとんど差し替え使ってないんじゃないか?
・キャラクターとにかく善人・悪人それぞれがきちんと描き分けられており
これも何度も書いたが、劇中で誰一人として
「その人物がそういう行動をするのはおかしい」と
観ていて感じるようなことをしなかったのは素晴らしい。
特に善人側のキャラクターについてはそれぞれが実に魅力的に描かれており
こちらの感情移入度を大きく高めてくれる結果となった。
ま、そのぶん上に書いたようにダメージも大きかったわけだが(^^;
終盤の悪役まわりの展開については、もう少し何とか…
例えば柴得勝なんかは、
確かにこいつらしいといえばこいつらしいし、
行動のパターンとして現実的ではあるのだけど、
もうちょっとここまで嫌われ者(視聴者にストレスを与える)キャラクターにしなくても
なんとかなったんじゃないかという気はするなぁ。
ストーリーの項と若干かぶるが、
「強さ」についてかなり多面的に描かれていたのも面白い。
物語のベースとして「現実に即した」というのがあるので、
やっぱ武功が圧倒的に強くても、あくまで個人レベルの強さでしかないんだよね。
敵が多数の兵士とか、あるいは権力者、民を味方につけた悪人、とかだったりすると
とたんに無力になっちゃうのだ。
そのせいでストレスがたまる展開も多かったんだけど、
このおかげで方有為という成長型主人公が
多面的にパワーアップを遂げることができたというのは、
やはり最終的なカタルシスに大きく貢献しただろう。
ただし、このせいでやっぱり
「本来なら問題なくぶっ殺せるはずの相手を
あの時殺っておかなかったばっかりに…!」とイラッとしたり
ガーンとショックを受けたり(王パパの時みたいに)ということが多かったのも
また事実なんだよねえ…(^^;
ほんと、例えば王パパの場合なんかは
ニコをそれまで殺さず温情で生かしておいたというのは、
決してこの人のキャラクター的に、不自然なことじゃないんだよね。納得できてしまう。
だからこそ悪役の卑劣さが際立つという効果はあったんだけど
同時にやるせなさもたくさん溜まってしまったというか…
やっぱちょっと善人がつらい目に会いすぎた感はあるね(^^;
最後の砦だった方パパさんが退場する時には
ほんとに胸が裂かれるような思いでした。