・たぶん収録の問題だと思うんだけど
人物の音声が片側に寄ってるのがちょっと気になった。
特に私の場合、ヘッドホンで鑑賞してるので
なかなか慣れるまで違和感がありました。まあ慣れたけど。
それ以外は全体的に音質は春秋篇よりは良かったかな。
と言っても、年代ものだからそれなりではあるのだけどね。
・「春秋篇」では合戦シーンの見せ方に工夫があったけど、
その辺は踏襲されておらずやっぱりドタバタ合戦になってしまった。
まあコレは仕方ないところもあるかなぁ。
基本的には「激しい戦いがあった」というのを表現するのが目的なので
これで良いっちゃ良いのかも知れんが…
あと極力、無駄な合戦描写は省かれていた
(「画面が変わったらもう戦争が終わった後になっていた」)パターンもあったので
その辺、いちおう何も考えていないというわけではないようだ。
・全体として、「春秋篇」は歴史を描くほうに重点を置いていたのに対し
「戦国篇」は歴史ドラマとしての体裁のほうを重視していたような感じだ。
オリキャラのヒロインとか、オリ展開とかね。
まあ私は楽しめたから良いのですが、
この辺り史実に詳しい人だとちょっと引っかかるものもあるかも知れない。
・日本語字幕は残念ながら「春秋篇」よりもちょっと質が落ちるかな。
原語で喋ってる内容をだいぶ咀嚼して短くまとめていたため
人物は台詞をぺらぺら喋ってるのに
字幕はもう用件を伝え終わって消えちゃってる、みたいなことが時々あった。
返す返すも、「成吉思汗」の字幕が良すぎたんだよなぁ。
(「この老い耄れ奴(め)!」とか大好きだった。)
あのドラマのDVDはその上、中文字幕も表示できたので、かなりステキだった。
同じコニービデオさんなのになぜクオリティに差があるのか…
と、話が脱線しかけたので、この件はもうおしまい。
・ストーリーについては、やっぱ時々焦点がぼやけてたり
「あれ? 結局あの話はどうなったの?」ということがあったり
見せ場だと思っていたところがあっさり終わってしまったり、
あと何より基本的な流れ(秦の一強)がもう決まってしまっているため
何をやっても結局ムダなんだろ?的な空気が時々感じられてしまったのはつらい。
それと、エピソード数が十一個だけというのも関係してるんだけど、
ひとつのお話を観終わって、「ああ、すっきりした。めでたしめでたし」というのが
ほとんどない(^^;
なんだかんだで最後は寂しかったり不幸だったりして終わるパターンが多いです。
だから悪いというわけでは決してないんだけど、
途中でやや観てて悲しくなってきたと言うか、疲れてきたのもまた事実なのであった。
ま、それだけそういう時代だというのが表されてて良いとも言えるんだけど。
・戦国篇のテーマはやはり「乱世という時代に翻弄される人々の姿」だろう。
ちょっと振り返ってみると、
第一章「死士豫讓」古い時代の理念である仁義を捨てずに、去り行く時代に殉じた豫讓
第二章「魏宮惊梦」自分の意思の介在する余地なく、周囲の流れに翻弄され
結果的に勝者となってしまった文侯
第三章「商鞅変法」法の奴隷となることにより自らの末路を知りつつ
立ち止まることを良しとせずにそれに殉じた衛鞅
第四章「孫龐闘智」片やその才を憎んで敵対することによって、逆に
後から追ってくる弟の影に怯えることなく好敵手を得た龐涓
片や兄を慕っていたのにその才を憎まれ敵対してしまったことにより
非情さを以って相手を叩き潰さざるを得なかった孫濱
第五章「蘇張縦横」奔放で恐れ知らずの張儀とそんな弟の相手をしながらも兄としての包容力で包み込む蘇秦が
天下をまたにかけて兄弟げんかをし、結局夢見た天下の今の姿を知ってしまった話
第六章「趙武霊王」新たな英雄王を育てる夢を持った武霊王が息子に非情さを教え、
そして息子は最終的にそれを得て父は満足して死を選ぶという父子の姿
第七章「田単復国」楽毅と田単
それぞれに夢を抱き、片方は夢破れて主を失い、片方は国を復興する夢を果たす
しかしどちらも後に心の平安は得られず
また得られることのないものを求めて旅を続ける…という人の愚かさ
第八章「笵雎逼仇」名声を求めず隠れて暮らすことを願っていた笵雎が時代の流れに飲み込まれ
平穏を失い復讐に生き、位を究めるも
やがて自分を取り戻し大切なことに気が付き、
名声を捨て去って平安を得る話
第九章「窃符救趙」忠義の士を殺し、恩人を殺し、
多くを犠牲にして大義を成し遂げたとしても
もはや秦の一強となった天下の流れはせき止めることが出来ず
それぞれの国は自滅への道を突き進む…という
時代を前にした一人の人間の無力さを知った信陵君
第十章「呂氏春秋」世の中の成り立ち、天下の国々に財と知謀を武器にただ一人、喧嘩を売って
半分勝ち、半分負けた男・呂不韋
第十一章「荊軻刺秦」戦国の世の終わりに、たった一人、胆力のみを以って
己の信ずる道を行った男・荊軻
ふー、疲れた、こんな感じか。
各章に書いたことと結構かぶってますが。
やっぱ一番好きだったのは第八章「笵雎逼仇」だな。
ここでスデに最終章まで行く前に「正解」が出ちゃってたようなもんだからね。
あとは第六章「趙武霊王」も武霊王が格好良くてヨカッタんだが
最後が悲しいので個人的にマイナス1点だ。
第十一章「荊軻刺秦」も良かった。
あの荊軻の格好良さを見てしまっては、
ちょっと当分は他の荊軻像を受け入れられそうにない。
こうして振り返ってみると、やはり描かれる「人物の魅力」というのが
エピソードの個人的評価に大きく影響しているのがわかる。
そういう点からも、この「戦国篇」は時代の物語ではなく
人物の物語だったということが窺える。