東周列国・春秋篇 まとめ

「東周列国」の「春秋篇」全三十集でした。
全体の総括ですが、まず完成度の高さにビックリ。
史劇ドラマというとやはりイメージとして「堅苦しく重い」というのが先行しますが
いざ観始めるとドラマの面白さに一気に引き込まれました
基本的に一話完結のオムニバス形式であるという点も
展開にうまい具合にメリハリをつけるのに役立っていたと思います。

そしてそれぞれが単発のお話という形式を取りながらも、
大まかな歴史の流れと世界観というのは共有しており
全体を通して貫かれているテーマも一貫しています。これはすごい。
30話、最後まで観終わるとそれが痛いくらいによくわかりました。

活字と違う、生の役者さんが演じていることによる
実写ならではの臨場感
というのも抜群。
あまり演技の良し悪しがわかるほど目が肥えているというわけでもないのですが、
人物を見ているだけで楽しかったというのは
やはり役者の力が大きかったのではないかと思う。
史劇ものという性質上、出てくる人物の大半はおじさんと爺ばかりですが(笑)
たまに美女が出てくるかと思えばたいていは傾国関係だしなぁ…

てなわけで、歴史モノ(史劇)が好きなら文句なしにオススメって感じかな。
97年製作と、今となっては少々古いかも知れませんが
この歴史ドラマとしての圧倒的なクオリティは全く色褪せていません。


以下ネタバレ込みで↓


・ほとんど各話感想に書いたため個別に書くことはそんなにないんですが、
音のほうに関してはちょこちょこ書いたように
時々かなりくぐもった小さい音で聞き取りづらく
字幕頼みだったってのがあったな。
あと台詞はそうでもないのに、エンディングとオープニングの曲だけ
妙にエコーがかかってて左右で別々のタイミングで鳴ってるような回もあった(笑)
なんだったんだろう…

・実写でCGヌキの合戦シーンをやろうとすると
ドタバタドタバタやってるだけというパターンに陥ることが多い…
というのはこれまでのドラマでもわかっていることだったので、
具体的な描写を極力省き
たまにやる時でも同時進行で史書の引用をテロップで流したりと
視聴者を飽きさせないようにする仕組みがよく考えられていたのもとても好印象。

・字幕については、ところどころ誤字が認められたり
あと改行がおかしくてぱっと見、妙な感じになってるところもあったんだが
最近ではもう日本語版出してくれただけで
十分ありがたいですという気持ちになりました(笑)

・そして各話感想の繰り返しになるが、
個々のストーリーはそれこそ山あり谷ありで
すばらしい英雄の話があれば、胸糞悪くなるようなドロドロ愛憎劇があったりと
バラエティに富んでたんですが一貫して諸行無常の色があったのはスゴイ。

・ときどき、原作(「東周列国史」)をかなり端折ってるんだろうなー
と感じられるようなところも、まああったんですけどね。
その辺はドラマとして再構成する際の取捨選択の必要性ということで
納得できる範囲ではあったのですが。

・総括としてはこの辺で。
最後にお気に入り話ベスト3でも挙げてみますか。

第3位
第二十集 庄王治楚

いよいよ本格的に覇者への道へと動き出した庄王の
魅力と器の大きさが存分に描かれていたこの回をまずは3位に。
参謀役として登場した孫叔敖もイカス。
相変わらずの不敵な養由基も格好良い。
冒頭の羽飾りの話を最後に持ってくるという構成もナイスですね。
十九集〜二十一集の庄王三部作は全部好きなんですが
一番まんべんなく活躍するキャラクターが多かったのが
この回をランクインさせた決め手です。


第2位
第二十三集 晏子相斉

斉の大臣たちのドロドロ抗争劇を横目に
春秋時代中〜後期の流れそのままに
「道理があれば従う、道理がなければ避ける」という
自分のやりたいように生きた最強のチビっ子・晏嬰の活躍が
存分に堪能できたこの回が第2位でした。
楚王の言いつけてくる無理難題をスパスパと軽やかに論破していく姿は
痛快そのものでしたね。


第1位
第十一集 羊皮換相

題して「百里爺の大冒険」
この回は、なんというか基本的に全編そうとは言え、
特に一本の物語としてこれだけで凄まじい完成度を誇ってる気がします。
この回の放浪の場面でだけ流れたなんともほのぼのした童話的な劇伴曲もステキ。
そして何と言っても一番は爺かわいさMAXの百里奚であることは言うまでもありません。
この小柄な爺がヨタヨタ歩いて、プルプル震えて、
そして丁重な扱いを受けるとエヘンと咳払いしてもったいぶっちゃう素振りとか
もう「見てるだけで楽しい」とはこのことです。
そんな百里爺だからこそ、最後の
みんなの歓声に慌てて穆公の後ろに下がろうとする
  ↓
穆公と公子摯に引き止められて、杖を置き、胸を張って歩き出す…
というシーンはもう感動の嵐です。
そして身分を隠しながら百里爺に敬意を払ってもてなす穆公の度量の広さも良いんだわ。
2位以下は結構甲乙つけるのに迷ったんですが、
この1位だけは満場一致(?)で決まりました。



選外
第三集 如此君臣

かなり初期の話なんだけど
早くも続き物で、第二集から鄭庄公が続投。
その関係で人物描写が深くなっているのに加えて
大夫の祭足のタヌキ爺っぷりと
庄公との仲の良い関係がなんとも楽しかった。


第七集 尊王攘夷

第六集〜第八集の斉恒公三部作
鮑叔牙の友情が美しい一発目も好きなんだけど
どちらが一番かというと
本格的にマブダチになった二人の仲睦まじさが微笑ましいコレかな。
その二人だけではなく、敵役の魯に登場した曹列も飄々としてて良かった。


第九集 仁義大旗

終始、スケールの小さい人たちがスケールの小さいことをやってた話なんですが、
宋襄公のふしぎな魅力にやられた(笑)
やっぱ、なーんか、ほっとけない人なんだよなーこの王様は(笑)
捕まったあと、無事解放されて助かった時は
ほんとにヨカッタヨカッタと涙がにじんでしまったのが自分でも不思議だ。


第十三集 重耳砺志

重耳シリーズの中ではこの回が一番好きだろうか。
狄の国の妻とのドラマチックな別れとか
放浪の身での苦難と主従の美しい絆
そして最後に覇者を目指して立ち上がる…という
完成度の高さがここでも光っている。


第二十一集 覇主余韵

第3位はこっちとどっちを入れるか迷った。
この話はやはり華元と子反の友情に尽きる。
こいつらステキすぎ。
あと最後のほかの覇者たちとは違う
庄王の物悲しさを漂わせた静かな終わり方も良かった。


第二十六集 専諸刺僚

伍子胥六部作は伍子胥の魅力は確かにあるのだが
特に上に立つ人が闔閭も夫差もアフォと来ているので
その辺がいまひとつ突き抜けきれない印象だった。
まあ全体のテーマとしてはそれで良いんだけどね。
その中でもこの話はまだ闔閭のアフォさと横暴さが
それほど前面に出てきていないという点、
印象的な漁師のオッチャン、
まだ他の話に比べると伍子胥の悲壮感が薄いという点から
選外にランクインした。



まあ、こうして見てみると、また改めて書くことになるが、
自分はオーソドックスなお約束展開に弱いというのがよくわかる(笑)
「器の大きい主君!」とか「敵味方を越えた熱い友情!」とか
その辺を見せ付けられるとうおおーっ!って脳汁が出ちゃうんですよね。
かといって、別に決して悲劇が嫌いというわけではないんですが。

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