
結局、ほとんどノンストップで
嵐のような勢いで鑑賞してしまった「七剣下天山」でした。
いやー、面白かった。
…なんか既視感がある書き出しなような気もしますが、気にしたら負けです。
いろいろな意味で金庸ドラマとは異なる味わいがとても新鮮でした。
個別の項でもう少し詳しく書きますが、
金庸ものは展開といい登場人物といいある種の漫画チックなところがありますが、
こちらはもう少し地に足のついた、現実感のあるドラマとして進行して行った…という感じでしょうか。
もちろん軽功でバタバタと飛び上がっていったりとか
内功発揮して空気がブワンと歪むとか
そーいった武侠ものとしての要素はちゃんとあるんですけどね。
これはネタバレというほどのことでもないので書きますが、
この全三十九話のドラマ「七剣下天山」は「完結」はしておらず、
三十九話で「上部」となっています。
続編にあたる「下部」は現在製作中とのことです。
とはいえ、完結してないとはいっても続きが激しく気になるような終わり方ではなく
いちおうの物語としての決着はつけたけど、まだ先はあるよ〜、といった終わり方です。
だからこれ単体で評価することはちょっとフェアではないのかな、とも思いますが、
ともあれ全三十九話、多少の波こそありましたが
一度も退屈することなく楽しめたというのはすごいことです。
これを書いている今もまだ余韻が残っています。
相変わらず強烈な物語体験をすると余韻に浸ってしまって
他のものが手につかなくなるから困る。
閑話休題
ともかくこのドラマは「射雕英雄伝」とは別のベクトルではあるのですが
同じくらいに楽しめました。かなりオススメです。
そんな感じで以下、最終話までの
ネタバレ込みで感想まとめ。
・音楽なんといっても音楽がすばらしかった。
エンディングの「空船」は歌詞からして
物語全体を通してのテーマや空気を表しているわけなんですが、
その旋律をさまざまにアレンジして使われる音楽は情緒感たっぷり。
そして砂漠編でのオリエンタルな雰囲気抜群の雄大な音楽
戦闘場面のアップテンポな曲も燃えまくりでした。
第一集での傅青主と晦明大師の再会の場面とか
第四集「七剣」での下山の時みたいな節目節目で流れる
アイアエーみたいな感じで歌う民族音楽っぽいのも好き。
これサントラ欲しいなー@@
・アクション金庸もののようなビックリ技のかずかずはなく
基本的には剣劇アクションなのだが
迫力は抜群。
まあ割と剣の衝撃波で周りの兵士がギャーと吹っ飛ぶという描写も多かったが、
それでも七本の剣それぞれに異なったエフェクトは見ていて楽しかった。
このドラマでは人物だけでなく七本の剣もある意味主役のようなものだったしね。
あとで人物雑感のほうでも書くが、
中でも特に于承慧老前輩による殺陣が熱すぎ。この爺はほんと別格だよ。
これスタントじゃなくてご自分でやってるってんだから、何者なんだろう@@
それから基本的に武器格闘ということで
敵も剣だけではなく、いろいろな武器を使ってきたのも
バリエーションがあって楽しめたなー。
そしてほとんど…というか全部か?
基本的に全話、必ず一度は何らかのアクションが入るという構成になっているので、
そのおかげでダレることなく楽しんで鑑賞を続けられたというのもあるなぁ。
なんだかんだいっても戦いの場面があってナンボの武侠ものですしね。
・キャラクター最初にも書いた通り、金庸ものと比べると
非常に地に足のついたキャラクターが多かった。
それでいて各人が実に生き生きと個性的に描かれている。
それぞれのキャラクターがそれぞれの考えを持って、それぞれに悩みを抱えていて、
で、それぞれに自分なりの結論を出して決着をつけていくんだよね。
全体として見ると決して登場人物は多くないのだけれど、
それ故に各々が印象深く描かれたというのはあった気がする。
金庸ものだと割とストーリーが途中で軽く迷走状態に入ったりして
それでもキャラクターの魅力だけで強引に話を引っ張っていく
(「引っ張っていけてしまう」とも言えるかな)…とか、
あるいはその逆にキャラクターの個性があまりにも飛び出すぎちゃって
強烈なキャラクターにストーリーのほうが強引に引っ張られちゃう…
といったことが良くも悪くも結構あるような気がするのですが、
こっちは少なくともそういうことはなかった。
地に足がついているとはそういう意味です。
ところで何度も金庸を引き合いにだしてますが、
決してどっちが優れてるとか劣ってるとか好き嫌いとかいう話ではなく、
単においらが比較の対象としてそれしか持っていないから
というだけですよ。念のため。
・ストーリー前編ということで今の段階では評価はできないのかも知れませんが
やはり最初から最後まで退屈な話がひとつもなかったというのは評価できると思う。
ただしこれまたやはり前編だからということもあるのかも知れんが
話としてのスケール感、広がり的にはそれほど大きくはなかったなというのはある。
要は結局、多格多親王を殺す殺すと言いながら
ほぼそれだけでずっと三十九話引っ張ったわけですからね(苦笑)
さすがにまがりなりにも現実の歴史を土台にしている以上は
それを引っくり返す(=清を倒しちゃう)ようなことはできないし、
まあそうなるとある程度は仕方のないことかも知れんが…
あと各話感想の中で何度か触れましたが
キャラクターによって描写に偏りがあるのがちょっとね。
結局トラウマの真相も語られず、解消もされることもなく
なんとなくで合流してそのまま終わっちゃった辛龍子がかわいそすぎる(笑)
主役クラスは由龍と青干の二人ってのはわかりますけど
それにしてもちょっと投げっぱなし感があるというのは事実です。
そういえば金庸ドラマでは結構目に付く物語上の粗というのが
ほとんど気にならなかったのも
スケールをそれほど広げずにまとめたおかげかも。
他にもいろんなところの粗というのも
各話感想で書いた音声吹替え以外はほぼなかったように思う。
「いろんなところの粗」というのはありていにいうと
「愛をもって生暖かい目で補完して見てあげる必要がある」ような点のことね。
この辺はプロデューサーの徐克が一度映画を作ってるからってのもあるかも知れないな。