上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
そんなこんなで、ほぼ一ヶ月で見終わりました。
全20集の武侠ミステリーアクションドラマ「絲路豪侠(邦題:シルクロード英雄伝)」でした。

何を間違って日本に入ってきたのかこのドラマ
鑑賞前に散々酷評を聞いていたので期待せずに観たのですが、
蓋を開けてみたら、あらびっくり。意外なほど真面目に作ってありました。

題名にあるように、西域シルクロードを舞台に
秘宝孔雀刀をめぐる天竺の密教集団呪奴と西域の守護者飛駝商隊の衝突を軸にして、
主人公である刺客燕逍遥が受けた「仕事」とその背後の陰謀を描いたこの物語。
さまざまな謎をばらまきつつ、それらをまめに回収し、
20集という短めの尺に収まるように
無理なく風呂敷を畳んできれいに終わらせました。



…と、これだけだと普通に良作っぽいんですが、そういうわけでもなく、
評判が悪いのも納得してしまうようなところも多々あるんですよね。
ありていにいうと、作り手側が「ドラマ作りに慣れていない」という感じでしょうか。
場面ごとの編集や演出構成、音楽の使い方、アクション設計などなど
諸要素の使い方がこなれておらず、観ていて非常に「わかりにくい」のです。

それらを払拭するほど訴求力のあるようなキャストがいるわけでもなく、
○○原作といったお墨付きがあるわけでもなく、
諸要素は驚くほどロジカルに配置されていてストーリーはカッチリ出来ているし
キャラクターも矛盾や適当さもなくしっかり描けてはいるものの、
要するに、ドラマとして華がない。

そんな具合で、冒頭数話で敬遠されて視聴リタイヤ者続出…というのも
わかるところではありました。


個人的には、「断仇谷」なんかもそうでしたけど、
こういった限定舞台で繰り広げられる陰謀やら抗争やらの丁々発止はけっこう好きみたいですし、
無造作に散らばったパズルの破片を拾い集めて、考えながら組み上げていく楽しさというのもありました。
ただし、文字通りに「無造作に散らばしすぎ」なところもありますし、
出来上がった絵自体はそこまでたいしたものではない上に
途中でほぼどんな絵になるかわかってしまうというのはあったわけですが…


というわけで、
ネタバレ抜き範囲はこれくらいにしておきまして、
以下、いつものように最終話までのネタバレ100%で行きます。






・ストーリー
☆☆☆★
思ったよりも、まっとうに作られた話だったな、ということです。
武侠ものでありがちなその場の勢いや強引さ、偶然、無理矢理な勘違いとか
そーいったガジェットに頼った展開というのは、ありませんでした。
観ていて「へ? なんでそこでソレを??」みたいに感じることがあっても、
次かその次くらいの回になれば「なるほど、アレはそういうことだったのか」とちゃんと伏線回収。
こういう構成は、ミステリものでいう「問題編→解決編」的な流れだなぁと感じました。
ありがちな終盤で怒涛の風呂敷畳を始めて、強引に殺しまくって無情END!みたいな問題もなく。

ただまあ、基本的につじつまがあっているとはいっても、
なんとなく釈然としないところもなきにしもあらずというか。
例えば刀爺が伏図に扮して飛駝商隊旗主たちを潰していた目的が内通者発見ということはわかったし、
内通者の存在を見つけないといけないということが
刀爺(飛駝商隊)の理念において、とてもプライオリティの高いものだということも、
わかることはわかるのですが。
それにしても、あそこまでのべつまくなしに善い人たちをぽんぽこ処分するのって
いくら目的があるとはいっても、どうなんだ?とか、
殺す必要がないようなところで殺すのはどうなんだ?(黄獅&周豹とか)とか。
やっぱり釈然としないものが残るところではある。

とはいえ
無私の英雄であるところの刀爺の物語としてはよく描けてきたし、
燕逍遥と瑪瑙のボーイミーツガール的な物語としてもうまかった。
基本的にキャラクターがブレることはなかったから、
ストーリーも落ち着いて進んでいたということだろう。
途中で失速したりということもなく、終始安定飛行しておりました。

+++++++++++++++++

さて、
ミステリものでいう「問題編→解決編」的な流れ、という構成はいいんだけど、
やっぱり致命的だったのは構成の下手さ(ストーリーではなく、ドラマとしての)だよなぁ。
とにかく意味もなく場面をぽんぽこ移動させすぎで、
もうちょい一つの出来事をきちんと一区切りつけてから
別の場面に移ればいいのに、同時に細切れで二つをやろうとするんだよなぁ。
別に観てて全く理解不能というわけではないんだけど、
こうもブツブツやられると「もうちょっとうまくやればいいのに」と思ってしまわざるを得ない。

あといろいろな演出効果、画面構成などなどが下手なせいで
メリハリがついていない。
そのせいで「問題編」を観ていて「は?」と感じてしまう部分がとても多い。
きちんと後になって振り返ると理解できるような作りにはなっているんだから、
もうちょい「印象的に見せるべきところ」と「そうでない部分」をきっちり分けないとね。
せっかくストーリーやキャラクターが良くても、
このせいでだいぶ損をしてしまっていたな~。
(このドラマの一般的な評価の悪さというのも、ここが原因であることは疑いようがない。)



・音楽
☆☆
OP/EDは良いんだよ。かなり。
で、音楽… 劇伴曲「そのもの」は良いんです。

んが、何が悪いのかというと、
ストーリーの項でも書いたけど、とにかくメリハリの欠如です。
音楽の使い方が致命的に下手というか、
音楽を「ただ流すだけ」なんですよねえ。
劇中の出来事にあわせて盛り上げるとか、サスペンスな雰囲気を高めるとか
そういう意図がちっとも感じられなくて、
なんかひたすらラジカセで隣で音楽だけかけっぱなし、みたいな。
もうほんと、激しく勿体無いですよ。
音楽は画面とあわせてグググッと視聴者の気持ちを盛り上げて
演出効果を何倍にも高めてくれたりもするものなんですけど、
その逆に、使い方を誤るとひたすらマッタリ、のったり、ダルダルな印象を
感じさせてしまうものなのだなぁと深く実感されました。

なんか最後のころ、ちょうど同時進行で「水滸伝」を観ていたんですけど、
あっちは一話の中で劇伴曲がかかっていない時間というのが、かなり多いんですね。
それが、いざ音楽が掛かるとなると、ものすごく効果的に、バシッと一発決めで使ってくる。
それで「きたきたきた! うおーっ!」となるんです。
やっぱり「メリハリ」なんですよね。重要なのは。



・アクション
☆☆★
武侠ドラマのキモのひとつがアクションであるということは
おそらく間違いはないわけなんですが、
やっぱり、何度も途中の感想で書いてきましたけど、
きちんとしたアクションを撮るには
いろいろお金やら何やらがかかるということなんでしょうね…

せっかく旗主ごとにいろいろ武器が違ったりとか、必殺の刺客燕逍遥とか、下地はあるのですが。
残念ながらアクションについては、だいぶしょっぱい出来というか
古装ドラマでよく感じるような
「まあアクションは本筋ではなくて、誰と誰が戦って、
どちらが勝ってどちらが負けた、という結果がわかればそれでいいのだ」的な
そんな生温かい視線で見守ることになりました。
この辺は、もうどうしようもないというか、
どうしようもないんだろうなぁというのがわかるので、文句を敢えて言えないというか…

それでも、最終回の殺陣は結構頑張っていたので、
アクションのノウハウが全くないとかそういうわけでもなさそうなんだよなぁ。

あと全体的に、たぶん動き自体はそんな悪くないんだけど、
見せ方が致命的にダメという。
意味もなくスローモーションを多用しすぎだし、カメラワークも悪いんだよなぁ。

まあアクション以外のところで
いろいろ場面構成や撮影技術その他に問題がありすぎるので、
アクションについて文句を言おうという気が薄れているというのも
正直あるかも知れない(^^;



・キャラクター
☆☆☆☆
これはちゃんと出来ていたんじゃないかな。
冷徹な刺客をやりながらも正義感と義侠心にあふれ、実は結構情に厚くて
ずっと昔に別れた女の影を引きずっている燕逍遥とか、
上にも書いたけど一貫して西域の安寧実現のために無私でがんばる英雄豪傑・刀爺とか
(思い出したので改めて書いとくけど、池彪の父親を殺した理由を語らなかったのって、
それが池彪と彼の父の名誉を傷つけてしまうから、ということだったんだよな。)
ヒロインの瑪瑙もご主人様に尽くす系の一途ヒロインとして新鮮だったしかわいかったし、
個人的に一番お気に入りの百花もヤンデレ具合と報われない思いの行き場をなくした自暴自棄っぷりが
悲しげであわれで良かった。
飛駝商隊の面々も、小粒ながらもそれぞれの好漢っぷりがなかなか。
南天星も、本編感想にも書いたけど、本気モードになってからの変貌っぷりが
ギラギラしていてギャップが良かったです。

と、ここまでは良かった点なんですが…

やっぱり、これまた最初に書いたけど、
「役者に華がない」
これは、ドラマへの訴求力という点では、ネックだよなぁ。
燕逍遥とかヒロイン勢はまだいいとして
飛駝商隊の旗主の面々なんか、だいぶ皆さん普通っぽい顔立ちというか、
他のドラマならモブキャラとかチョイ役に近い扱いでもおかしくない感じというか。
まあ親しみやすい顔とも言えるが、
逆に結構しっかり覚えておかないと
誰が誰だかわからなくなりそう…というのはあると思われ。
特におはなしがミステリ仕立てな上に、構成がわかりづらいというのがこのドラマなので、
なおのこと問題でした。

キャストでふと思ったんですけど、これで刀爺役が馬精武とかだったら
たぶん色んな欠点はともかく一気にドラマの評価はうなぎ上りだったと思います(笑)


 
Secret

TrackBackURL
→http://khazad2.blog98.fc2.com/tb.php/1028-9970cbf6
QLOOKアクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。